
教室ではクリスマスのあと、みんなで双六をつくることにしている。サイコロをころがして出た目の数だけコマを進めるという基本ルールに加えて、「一回休む」とか「おまけで前に三進む」逆に「三戻る」など。それだけではない。
スタートからゴールまでの間に、ところどころ自分で作ったルールを描き込む。もちろん絵を入れる。動物園にしてゴリラやライオン。ライオンのところで止まると四戻る。ハクチョウだと背中に乗った気持ちで八進む。公園をつくる子もいる。池を描いてその上に橋をわたし、森の風景も入れる。
一時間半は、あっという間に過ぎてしまいプレイするのは来週のおたのしみ。
さて次の週。双六をひろげる前に、二つの机の足を折りたたみ、壁にたてかける。なにしろこの部屋はせまい。肩をよせあって双六を囲む。足を投げ出したり、あぐらをかく空間もない。くっついている姿は、巣の中で並んでいるカラスの子みたいだった。
ある年。新しく入ってきた四年生のマイコが提案した。「みんなで、それぞれ一コマを一枚の画用紙に描こうよ」画用紙のスミに➀から順に番号をつける。一人で二コマ(二枚)を受けもち、そこへ一回休むとか自分で考えた約束事を描き、絵もそえることにした。
畳の上に➀からゴールまでの画用紙を置いてみる四畳半のすみっこの壁際にも置く。すでに全員が立ち上がっている。思いのほか場所をとらない。スタートした子はサイコロの数だけ画用紙をふみながら進む。止まったところで紙の端っこに足の指先をのせている。あとから来た子もとまれるように考えてのこと。マイコの創意工夫である。
はじめての試みの「立ったまま歩いて進む双六」が四畳半の教室から生まれた瞬間だ。子どもたちの満足気な表情が部屋一パイにひろがった。マイコには創造大賞をあげたい。
喜田川 昌之