喜田川 昌之 わらべ絵館

音楽を流しますか?

幼い日 目にした光景
季節の風が運んできたぬくもり
遠い日の思い出の
ひとコマひとコマがよみがえる
わらべごころを描いた作品が並ぶ
ミュージアム

喜田川ワールドへのいざない 

約500点の作品の中から四季折々展示変えしてます。

畳と珪藻土の壁に包まれた温もりある空間で昭和の子どもたちの日々を描いた作品にふれ、思い出に浸ってください。
炉端にご用意している
お茶でひと時をお過ごしください。

作家プロフィール
喜田川 昌之

TBS系テレビ『まんが日本昔ばなし』の美術担当の一人として映像制作に携わりました。 2003年、当時喜田川が65歳の頃、伊豆高原に移住、翌年の 2004年に自身の作品を展示する、喜田川 昌之 わらべ絵館を 開館いたしました。開館以来、変わらずわらべ絵を描き続ける 現存している最後のわらべ絵作家です。
(ベルマーク運動のソフト援助で全国のへき地小学校44校にて出前体験塾を開講。絵画指導をしていた時の写真)

ご利用のご案内

開館時間 AM 10:00~PM 4:00 (入館)
開館日 金・土・日・月曜日(祝日、正月は開館)
冬季休館日 12月1日〜12月31日
料金・地図のご案内はこちら

ギャラリー・SHOP

海の絵 画集

春夏秋冬だより

18.窓からの風景

 子どもたちは山道を上へ上へとのぼりたがる。ボクも子どもの頃、村はずれにある山の上から遠くの風景を眺めるのが好きだった。習性なのかもしれない。こどもたちは階段をのぼって四畳半の教室に入るなり「こんにちは」といって、つっ立ったまま、手すりにからだをあずけて窓の下をのぞきこむ。つられてボクものぞいてみることがある。そこには、むかし東京の下町の長屋と呼んでいた風景が、そのまんま残っている。窓から見下ろすと左右に細長い屋根の二棟が向き合って建ち、間に道のような庭のような空間があり、ギコギコ井戸水をくみ上げる手押しのポンプも見える。ボクは音がしても下をのぞき込むことはしたくなかったけど、ただ遠くを眺めるのは好きだった。二方の窓は北と西にあり、西の窓からの景色は高い建物がほとんどなく広々とした眺めだった。西北の角には近くの銭湯の煙突が際立ってみえ、モクモクと立ちのぼる煙の色は、はじめはうすく、少し黄色がかった灰色で、しばらくすると黒ずんだ色に変わり、うねるように勢いよく、えのぐをチューブから押し出す瞬間にも似て、まるで生きもののようにも見える。そして日によって煙の色は微妙にうすくなったりもする。「燃やすモノによってちがうのかなア」とつぶやきながら子どもといっしょに見つめるのだった。

 窓の手すりは小指程度の太さの金属製である。ネジクギで留まっているが、窓枠から約30センチつき出し、その先端から立ち上がり手すりになっている。子どもたちは、つい、その30センチの部分に足をのせて目線をより上げようとする。すかさずボクは「アブナイ!」「ヤメロ」と大声でどなっていた。そしてすぐその場で壁に張り紙をした。「手すりにのるな!」

喜田川 昌之

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