喜田川 昌之 わらべ絵館

サンデーコラム
2026年7月12日

エッセー
遠い夏を予感して

 夏が来たことを告げる虫がいた。「ジー」となくからだの小さいセミだった。コゼミ。ニイニイゼミのことをボクらはそうよんだ。外でキャツチボールや川遊びをしている時も、縁側でひるねをしている時も、ひと夏、たえず耳にしていたのがセミのこえだった。

 コゼミの次に登場するのがアブラゼミ。ジリジリジリというこえは炎天下によく響いていた。それにシャシャシャと大さわぎするクマゼミは体長6~7cmと王様級。透明のハネの下で体をくねらせてうなり上げる姿はなんとも雄々しくみえた。

 やがて夏のおわりを告げるのがツクシクポウシ。数も少なかったが、細身で気品のある姿は、はかなげでもあった。

 アブラゼミの一生は土の中に5~6年いて羽化して2週間をなきつづけて、土にかえると言う話を大人から聞かされていた。ツクツクボウシのこえはさびし気ではあったが、来年のく<遠い夏>を予感させてくれた。

喜田川 昌之

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