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喜田川昌之 わらべ絵館



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 ーきれいな花やなあー
 ボクのおばあさんが、独り言のようにつぶやいた「きれいな花やなあ」のひとりごとが年を重ねる中、しきりによみがえってくる。

 ボクが小学校低学年の頃だった。「これからお墓参りに行くのでついておいで」当時、祖母とつれ立って出かけることはめったになかった。お墓は家から500メートルほどのところにある。凹凸した道には小石がころがっていて片足でけりながら祖母の後をついていった。
小柄で着物姿だが足早に歩きながら、突然、道端で足を止め、腰をかがめて草花を見ながら「きれいな花やなあ」と言った。ボクは「その花のどこがきれいなんだろう?」と思いながらぼんやりと草花を見ていたように思う。

 それから五十数年たった頃、当時、東京から伊豆半島に出かけることが多くなり、ボクが生まれ育った三重の土地を思い出させる風景にすっかり魅了されていった。というのもミカンやキンカン、あまり知られていないが赤ん坊の頭ぐらいの柚子、(シシユズ)など、毎年その季節ごとに家で食べる果物がスーパーで売り出されるのもありがたく田舎に帰った気分になるのだった。
 そして道端にはクヌギ林のドングリがころがってい、スミレやツユクサを見るたびに祖母の「きれいな花やなあ」というつぶやきが聞こえてくるようで、<もしかしたらその花はツユクサだったのかもしれないな>と、毎年のようにくりかえし思い出している。

 大人が、心の底から感動したつぶやきは、子どもの心の奥深くにとどまり続けるように思う。
 ところで、いま取りくんでいる絵本は読み聞かせを想定している。
二十四節気がテーマである。子どもにおもねることなく、先ずは大人が心底興味をもった上で読みきかせる絵本にしたいと話し合いながら制作が進んでいる。夏号の発行からスタートする。

                      まさゆきお絵かき日記


      

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