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喜田川昌之 わらべ絵館



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〒413-0232 静岡県伊東市 八幡野1208-59 ℡0557-54-7011

一へき地の子らに―

 2002年。ベルマーク運動のへき地援助で、少人数の小学校へ出かけて行き「絵画教室」を開くことになった。「絵かき・あそび体験塾」が始まった。
 教室に入ると必ずあいさつがあり、自己紹介がある。ボクは、あいさつにかえ、子どもたちを集め輪の中で「ベビーブック」を見せることにした。
 当時、東京から絵かきが来るという先生の話を前もって聞かされていた子どもたちは、おそらく当日は朝からキンチョウぎみだったろうし「うまくかけるかナ」と心配顔をみせていたにちがいない。
 手まねきで、集まってきた子どもたちに育児日誌の表紙を見せる
「クッブービーベ」とさけぶ。当時は横に書くときは右から左へ文字が並んでいた。今は左から読むのが習慣だからさかさ読みになってしまう。「ベビーブック」とわかった子どもたちは「赤ちゃんの本!」
とさけぶ。指先でその皮の表紙を触ってみる。文字や絵が浮き彫りになった表紙の凹凸はめずらしく、子どもたちの目が少しずつ輝いてくる。
 ページをめくると、四歳の時にかいた家族の顔が現れる。「お母さん」とさけびエプロンを指さす。ヒゲのおじいさんの顔�に見入る子。動物の絵は「ウサギ」 「カメ」 「ウシ」 「ウマ」 四歳のボクの絵を見て、「これくらいだつたらかける」「ぼくの方がうまい」といいたげな表情が見えたりもする。かきたくてうずうずしている子もいる。
 この年に、これまで家族以外には誰にも見せたことがなかったボクの記録を携えて、全国のへき地校まわりが始まった。どの学校でも「ベビーブック」を見たあと、こんどはぼくらが描く番だとばかり意気込んでくれる。そんな子たちの「お役に立っている」様子を天国の両親はきっとほほえんで見ているにちがいない。


                       まさゆきお絵かき日記
 

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