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ー見てござるー |
当館に常設のコーナーがある。その中に子供たちが真顔で見入る絵がある。タイトルは「神様が見てござる」神社の境内の大木を見上げてオシッコをしようとしている。大木を上のほうへたどると白衣に白袴の神様の姿がある。
絵の説明をするなど無粋と知りつつも子供たちにはなぜかつい説明をしてしまう。小学校低学年の頃、ボクは神社の庭で遊んでいるうちに、どうしてもオシッコをしたくなり大木の根元にかけてしまった。普だん境内での不浄はきびしく禁じられていたのだが、たまたまちかくに人の気配がなかったので「まあええやろう」とやってしまった。
その日の夕餉のあと祖母がポッリと言った。「神さまが見てござるでナ」驚いた。神さまがおばあさんに告げたんやーその瞬間からボクの頭の中を「見てござる」がエンドレステープのように回り始めた。
神さまの姿は見えないものと教えられていた。たまたまおばあさんは普だんのイタズラをいましめたのだった。その夜以来ボクはいたずらができなくなってしまった。
やがて「神様に見張られている」のではなく「神さまに見まもられているのだ」とだれかに聞かされた時、ボクの心はゆるみ、まるで金輪がはずれた孫悟空のように晴れやかな気分になった。その頃のボクはすでにイタズラ盛りを過ぎてしまっていたのだった。
まさゆきお絵かき日記
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